僕が死んだら、~あとがき

 「タイトル暗すぎだろ」HP開く度に思います。

 でもタイトル程、中身は暗くない程度に書いたつもり、です。

 わたくしも悟と一緒で癌になった事があるんです。私の場合、胃癌ではなく鼻腔癌ってやつで鼻に癌ができたんです。

2019年の夏に鼻の中にポリープが見つかって、切除して調べたら癌だと分かりました。幸いステージ1の早期発見でしたが、その後手術で鼻の組織と軟骨を一部削られました。

 癌は術後5年は経過観察しなきゃならないので、今も定期的に受診しています。

癌の告知受けてから、入院~手術~退院までの事を思い出そうとすると脳が拒否するのか、完全に思考停止します。多分トラウマになってますね。

 だから悟を書くにあたって胃癌について調べていると・・・もう癌って文字見るだけで具合悪くなるんですわ、吐き気もよおしながら資料読んで、何でここまでして書いているのか自分でもよく分からなくなりました。でも完成してよかった。

 病院を舞台していいますが、生とか死とか、病気が、とかをテーマにしていないので、あんな感じになりました。

 この作品のテーマは人間の「執着」です。

 一人の男に執着した果歩

 夢に執着した悟

 過去に執着した熊野

 3つの執着を軸に書きました。

 後味の良いオチではないですが、個人的に印象深い作品です。

 キャラクター達について

 ●大江 悟編

 胃癌の男、悟。彼は「何となく」という理由でカメラマンになりました。そのせいで調べるのに時間がかかりました。

 悟は夢を追いかけて無理が祟り、癌になってしまったのですが、彼の場合、不安やら焦りといったマイナスの感情から正常な判断が出来なくなっていったんですね。それで働き過ぎなぐらい頑張って体を壊すという。

 夢は、その人の人生を輝かせるものだと思います。でもそれが「執着」に変わったとき、本人も周りの人も不幸にするのでは、と思うんです。要は、ムリはイカンてことですわ。

 悟も熊野のアドバイスで自分の本当にやりたい事に気づきます。

 勘当同然で家を出たけど、本当は親と仲直りしたいと思っていたし、旅館の跡を継ぐのも悪くないと思いはじめ、何より亜美という大切なパートナーの存在にも気づかされるのです。悟るんです、色々。

 (だから‟悟”って名前に)

 そいうえば、悟は海外に行く事も多かったので英語はある程度できるし、ホテルに泊まることも多いので、旅館のアメニティに気を配れるのでは・・・案外良い旅館の経営者になれるかもしれないですね。

 ●熊野 浩二編

 彼は元々、バリバリ働いていた会社員でしたが、家庭での働きはなかったので、嫁と子供に逃げられた過去があります。それで心を病んだ訳ですね。

 人が病むのって他人から見たら「そんな事で?」って思われる場合もあるじゃないですか。

 はたから見ていたら無責任に「OOすれば~?」とか言えるけど、そんな簡単なものじゃないと思うんです。

 熊野は電話をかけるふりして、想像の中で奥さんと子供に語りかけていたんですが、客観的に見てる人は「そんなんやってないで行動におこせ」なんで思われるんじゃないかと、でも、「病む」ってそういう事だと思います。

 最後の方で、自死をほのめかすようなシーンがありましたが、結論から言うと、死んでません。未遂で済んでます。

 幸いにも病院のスタッフに見つかって、手当を受け、一命を取り留めたが、閉鎖病棟に移されて、前みたくウロチョロできなくなった。というシナリオでした。

 まぁ、この作品で殺すのは一人だけと決めていたのでね。

 この台本書いている時、有名な俳優さんが自死したニュースが報道された時期だったんです。

 自死するような人って、周りからしたら、まさかあの人がって人ですよね。

 普段から、悩みを打ち明けたり、弱いところをみせれる人は大丈夫だけど、周りにしっかりした印象を与える、弱いところをみせれない人がそういう選択をしてしまいがちだと、誰かが言ってました。

 だから熊野も明るくふるまって悟の悩みを聞いてあげたり、一見大丈夫な人だけど、それはあくまでフリだったと。

 う~ん、どうして人は単純に生きられないのか。

 ●森下 果歩編

 果歩は、大学の頃から蒼を想ってたんですね。健気ですねぇ・・・怖いですねぇ・・・。

 この人を書いていると、ここまでくるとギャグなんじゃ、と思えて、逆に笑いがこみあげてきました。

 彼女のために、調べてみましたよ、ストーカーについて。私的に意外だったのが、ストーカーになりやすい人の特徴の一つとして

「頭の回転が速い」というものでした。なので仕事ができる人も多いらしいです。案外ボーっとしている人ってストーカーできないんだとか。

 という事は、仮にAという仕事ができる男がいるとして、Aは職場で頼られる存在だが、実は仕事終わり女子大生をストーキングしていた・・・なんて事もあり得るのでは?

 またストーカーって逮捕されるまでストーカーの自覚ないらしいです。はたから見ているとストーキングにしか見えないけど、本人はボディーガードのつもりだったり、むしろ良い事をしていると思っているんだとか・・・なので果歩も蒼のためになると思っていて、でも恋愛感情はあるから見返りは求めているという・・・。

 果歩みたいな人って、救われる事はあるのでしょうか。

 ●冴島 蒼編

 今まで書いたキャラクターの中で一番の困ったちゃん。

 同僚に仕事押し付けるし、女関係だらしないし、お金にもだらしない・・・。

 ここまで悪く書く必要もなかったかと思ったんですけど、良いヤツが事故で意識不明になったらひたすら可哀想なので、あえてヒールに徹してもらいました。

 ブラウス破れちゃった果歩のためにTシャツ買ってあげたり、そういう所もあるんですけどね。

 蒼のだめな所は、依存心の強さなんです。自立した精神を持っていれば、仕事はちゃんとするし、お金も借りたりしないし、女は一人で良いハズだし。

 蒼は、果歩のヒモが一番向いてそうですね。

 ●前田 亜美編

 一見常識人だが、最後の方で「・・・」となってしまう人、亜美

 亜美は、合コンで知り合った男と悟に内緒で会っており、その相手が蒼だったのです。

 彼女を善しとするかどうかは、見てる人次第ですかね。私はそんなに悪い事はしていないのでは?と思います。

 悟がいて、合コンへ行ったのは悪いけど、悟も彼氏として甲斐性なさそうだし、仕事で海外行って会えなくなったりするし、自分の夢ばかり追いかけて、亜美との将来を考えてない風だし、結婚願望のある人だったら、こういう彼氏は不安になると思うんです。

 しかも、合コン行ったきっかけで音信不通になるし、そんな中、合コンで知り合った男からアクションがあると・・・揺れちゃうじゃないですかね?

 これは浮気願望とかではなく、将来をきちんと考えるからこと揺れるんです。

 女の人は、リミットがあるから、70過ぎても自分の子孫を残せる男の人とは違いますからね。

 亜美にとって、悟と人生を歩むのが理想だけど、皆が皆、理想を追うほど強くないものでしょう。

 作中では書かなかったけど、彼女なりに悩んでいたんです。

 ●病院スタッフ編(堂嶋、松井、竹林、北見)

 う~ん、ここで詳しい話は書きずらい・・・

 自分が過去に病院に勤めていたから、何かいやなんです。

 なのでこのへんで

 最後まで読んでくれてありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

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