放課後、アリスとまじないを。

★9人(男4人、女5人)

★50分くらい

★あらすじ:学祭の準備中、西條高校の2-Aでは大正時代をテーマに、クラス展示の制作中。主人公あかりは得意な絵を任されていた。しっかり者の萌、天然なレイ、女子力高めの森、ヤンキー少女清美、そんな個性豊かな面々まとめる、カリスマ的存在アリス、皆で和気あいあいと作業をしていたが、クラスの男子、藤井のある一言で、自分とアリスを比べるようになってしまい・・・

【登場人物】

立花 あかり   帰宅部、絵が得意

アリス      チア部、クラスのカリスマ

藤井 亮太    サッカー部、男子にハブかれ気味

橋本 萌     手芸部、勉強でトップの成績

森 皇成(コウセイ) 手芸部、女子の友達が多い

山田 レイ    合唱部、天然、ドジっ子

吉田 清美    帰宅部、ヤンキー

鏑木(カブラギ)先輩  藤井のサッカー部の先輩

先生       2-Aの担任

本編スタート

学祭準備中の2年A組の教室、あかり、萌、森、レイがいる。

レイ :ねぇ、あかりちゃん、だめ?

あかり:うん

レイ :えー何でぇ?

あかり:恥ずかしいから。

萌  :せっかくだし、皆で撮ろうよ。

あかり:う~ん・・・でも何でユーチューブにアップすんの?

レイ :だからー、今、学祭の準備中でしょ?皆が頑張ってるところをレイチャンネルにアップしたいの。

あかり:う~ん・・・。

森  :大丈夫だよ。ほとんどレイが喋るから。

レイ :ね、ちょっとだけ~

あかり:・・・まぁ、ちょっとなら

レイ :やったー!じゃ、今から撮るね。

あかり:今!?

レイ :3.2.1・・・みなさんこんにちはー、レイチャンネルへようこそ!西條高校2年A組、出席番号32番、山田レイです!

あかり:ちょ、個人情報!

萌  :まぁまぁ

レイ :ここは2年A組の教室ですが、何か、がらーんとしてますね~、実は今、学校祭の準備期間中で、皆、学祭に向けて頑張っています。おやおや~、何か作っている人がいますね~、ちょっと聞いてみましょ~、こんにちはー

萌  :こんにちはー

レイ :何を作っているんですか?

萌  :これは、大正時代に流行した服を作っています。

レイ :そう、我ら2Aは大正時代をテーマとしたクラス展示をやります!この服はどんな服ですか?

萌  :これは当時モダンガールと言われた人達がいて、その人たちの来ていた服を元に、デザインしました。

レイ :そのモダンガールのファッションをこちら、手芸部の橋本萌ちゃんと同じく手芸部の森皇成君が作ってくれています!

あかり:フルネーム出して大丈夫!?

レイ :そしてこちらはー、じゃーん。大正時代風の絵です!かわいいですね~、書いてくれたのは、立花あかりちゃんです!

あかり:・・・立花あかりでーす。

レイ :私たち2Aはこういった展示のほかに、映画撮影もやっています。こちらも大正時代をテーマにしたストーリーで、タイトルは、「大正メモリアル」。脚本は、アリスちゃんが書いてくれました。

萌  :レイ、見てる人はアリスちゃん分かんないから。

レイ :あ、そっか、アリスちゃんは、2Aの生徒で、今回、クラス展示の総監督で、脚本も書いてくれて、何でもできる、すごい子でーす!

森  :すごい子でーす。

レイ :この大正メモリアルは、普通の女子高生が大正時代にタイムスリップして運命の恋をする、という内容です。映画は2Aの教室でクラス展示の日に上映します。

森  :クラス展示、何日目か言わないの?

レイ :あっそーだ。クラス展示は2日目にやります!学校祭は3日間あって、1日目パレード、2日目クラス展示、3日目は部活動発表があります!レイは合唱部なのですが、今回、指揮者に任命されました! 合唱部もぜひよろしくでーす。

森  :よろしくでーす。

レイ :私たち2年A組は、展示班と映画班で分かれて作業をしています。展示班はここにいるメンバーと、今遅刻していないけど、吉田清美ちゃんと、藤井亮太君でやっています。残りのメンバーが映画班にまわって、総監督のアリスちゃんがクラスをまとめてくれてます!皆で作った展示を見つつ、映画も見れる盛りだくさんな2年A組の学校祭、みなさん是非見に来てね~~。

3人 :見に来てね~~

レイ :はい、カーット。みんなありがと~

萌  :いえいえ~

あかり:これいつアップされるかな?

萌  :52回・・・

あかり:ん?

萌  :レイのユーチューブ、総再生52回だよ。

あかり:へ?!

森  :しかも自分でしょっちゅう動画見直してるから、そのうち40回は本人かもしれない。

あかり:・・・。

萌  :さて、作業開始しますか。

森  :ういーす。

各々作業にとりかかる。

レイ :ねぇ萌ちゃん、何か手伝う事ある?

萌  :え?今日、合唱の練習は?

レイ :今日ないの

萌  :あ~・・・そっか。

あかり:あ、じゃあさ、これの消しゴムかけできる?

萌  :あー待って!森君!

森  :何~?

萌  :リストバンド届いてるよね?それの刺繍、レイに教えてやって。

森  :おっけ~、レイ、刺繍やったことある?

レイ :わかんない~

萌  :ちょっと、レイに手伝ってもらうのやめときな。

あかり:何で?

萌  :あのこ、去年の学祭でペンキけつまづいて、完成間際の展示に絵の具ぶっかけたって。

あかり:え・・・!

萌  :あの子に大事な仕事はさせない方がいいわ。

あかり:そうね・・・。

レイ :んん~、難しい。

森  :糸は斜めに切って

レイ :んん~

萌  :けど、展示と映画に分けたの正解だったね。

あかり:うん、皆映画に出たがるから、こんな少人数になったけど。

萌  :でも、かえってはかどらない?

あかり:まぁね ・・・映画の方は順調かな?

萌  :アリスが仕切ってくれるから、ばっちりだって。

あかり:いやー、まじ神だわ。

萌  :チア部の発表もあるのに、よくできるよね。

あかり:てか、清美まだ来ないね。

萌  :あいつ~、今日衣装合わせだって言ったのに~

あかり:藤井君も来ないね。

萌  :あーいいよ、来なくて。

あかり:萌(笑)

萌  :いない方が、雰囲気良くない?

あかり:まぁね。

萌  :何で展示の方来た訳?

あかり:まぁ、最近男子からハブられ気味だしね。

萌  :修学旅行終わったあたりからだよね・・・ざまぁ。

あかり:藤井君、萌の天敵だもんね。

萌  :だってムカつかない?

あかり:まぁまぁ、あまり相手にしない方がいいよ。

レイ :できた!

3人 :!?

レイ :針に糸、通った!!

萌  :・・・森く~ん。

森  :がんばりま~す・・・。

アリス登場

アリス:おつかれ~

萌&あかり:アリスー!

レイ :アリスちゃ~ん

アリス:皆、順調?

萌  :ばっちりー

アリス:(萌の作品を見て)かわい~

萌  :でしょ~

アリス:森くんも頑張ったねー

森  :まぁね。

アリス:あかり、いい感じじゃん。

あかり:ありがと。

レイ :見て―、針に糸通ったのー

アリス:?

萌  :ああ、レイにはリストバンドの刺繍してもらってるんだ。

アリス:そうなんだ、頑張ってね。

レイ :うん!

アリス:清美は?

萌  :まだー

アリス:え~衣装合わせしたかったのに

萌  :まぁ、清美だしね・・・映画は今、どんな感じ?

アリス:今稽古中。撮影は明後日になる予定だよ。

萌  :稽古かーいいなー

あかり:あーちょっと憧れはあったよね。

森  :僕も

アリス:じゃ、台本読みしてみる?

萌  :え、いいの?

あかり:じゃあ私千代やりたい

萌  :え、私も

萌&あかり:最初はぐー、じゃんけんぽい!

萌  :あーーーー

あかり:やった!

萌  :じゃ、語りでいいや

アリス:私何にしよう?

萌  :清・・・?

あかり:あー(納得)

アリス:おっけー清ね。

森  :じゃ僕、ドリーかな

レイ :レイは?レイ何すればいい?

先生登場

先生 :おーい、吉田と藤井来たかー?

萌  :あ、先生

森  :まだでーす。

先生 :はぁ、あいつらは・・・来たら職員室に来るように伝えてくれ。

萌  :はーい。

先生 :おーすごいじゃないか。こりゃ優勝狙えるぞ。

萌  :えー本当ですか

先生 :うん!もしかしたら3年しか優勝しないジンクスを破れるかもしれない。

レイ :やったー

先生 :この調子で頑張れよ

先生、教室を出ようとする。

アリス:えー?先生、行っちゃうんですか?

先生 :どうした?

アリス:今から皆で台本読みしたいんですけど、キャストが足りないんですよね。

先生 :何だ、お前ら展示だろ。

萌  :いや~映画にもあこがれがあって・・・

あかり:せめて台本だけでも読みたいんです。

先生 :え~

森  :お願いします~前半だけでもいいので~

レイ :お願い~~

先生 :分かった、いいぞ。

皆  :いえーーー!

アリス:じゃ先生、主役の葉子で

先生 :女役!?

アリス:じゃレイ、川島先輩とおじさんやってくれる?

レイ :いいよー

アリス:じゃ、映画「大正メモリアル」台本読み、スタート!

2年A組クラス展示 映画、大正メモリアル

【キャスト】

     葉子(ヨウコ) 先生

     清(キヨシ)  アリス

     千代(チヨ) あかり

     ドリー   森

     おじさん  レイ

     川島先輩  レイ

     語り    萌

葉子 :う~ん、今日もいい天気、あっおはよー。ねぇ昨日の宿題分かったー?

語り :彼女の名は葉子、西條高校に通う、平凡な女子生徒。これはそんな彼女の運命の恋の話・・・始まりは、新宿駅だった。

ドリー:う~ん、分からん~~

葉子 : おばあさん、どうしたの?

ドリー:東口から西口に行くにはどういたらええんじゃ~~。

葉子 :私が連れてってあげる。

ドリー:悪いね~。

葉子 :ほら、ここよ。

ドリー:ありがとうよ。お礼がしたいんじゃが

葉子 :いいよ、気にしないで。

ドリー:でも

葉子 :あ、もう電車来ちゃう。じゃ、おばーさん気を付けてね。

ドリー:あ、ちょっと~・・・まぁいい、いずれまた出会うだろう。

葉子 :ふう、間に合ってよかったー。

川島 :おはよー

葉子 :あ、おはようございます!あの、先輩!

川島 :何だい?

葉子 :今日の放課後、体育倉庫の裏に来てくれますか?

川島 :いいけど。

葉子 :じゃ、放課後待ってます。

語り :彼の名は川島、テニス部の先輩、葉子は彼に片思い中だった。

葉子 :は~、緊張する~もうすぐ川島先輩が来る~。今日こそ絶対に告白するって決めたんだから、頑張れ、私!

川島 :何~こんなところに呼びだして。

葉子 :はっ先輩!・・・あっあの!先輩って彼女いるんですか?

川島 :いないけど~

葉子 :あの・・・もしよかったら私、先輩の彼女に立候補します!これ(ラブレター)私の気持ちです。よろしくお願いします!

川島 :俺好きな人いるからごめんなさい~

葉子 :ガーン。

語り :葉子、17歳、初めての失恋だった。

葉子、三角座りで、遠くを見つめる。

ドリー:何黄昏てるんだい?

葉子 :あなたは・・・

ドリー:悩みでもあるのかい?

葉子 :おばあさん、私、失恋したの。

ドリー:いいじゃないか、男なんて星の数ほどいる

葉子 :でもね、星の数ほどいても、星には手が届かないの・・・1番星が手に届く奇跡が私にも起こらないかな・・・。

ドリー:そうかい、それがあんたの願いかい。

葉子 :そうね。

ドリー:駅でのお礼だ、特別にわしの力を解放しよう。

葉子 :チカラ?

ドリー:はぁぁぁぁぁぁ・・・!!!(変身)

葉子 :え!おばあさん!?

ドリー:ばあさんじゃないよ、わたしゃ、魔法使いドリーさ。

葉子 :ええ!

ドリー:あんたに奇跡、起こしてみせよう、ホトトギス、カ――――!!

葉子 :キャー――――!!

語り :魔法をかけられた先、葉子の目に飛び込んだのは、大正時代の東京だった。

葉子 :何で馬車が走ってるのーーー!!きゃーー(パニくる)

車にぶつかりそうになる

オジサン:わぁぁぁぁぁ~~!

葉子 :きゃー

オジサン:こらー死にたいのかこのバカチンが!

葉子 :ご、ごめんなさい!オジサン!

清  :(車から降りる)君!大丈夫か!

葉子 :大丈夫です、はっ!

清  :はっ!・・・君は・・・どこかで会ったような気がするな。

葉子 :な、なぁに、ナンパ?

清  :ああ・・・

葉子 :も~やめてください

清  :見知らぬ人に、こんな風に声をかけられるのは、初めてかい?

葉子 :当たりまえじゃないですか~

清  :僕も、

葉子 :え

清  :僕も、女性にこんな風に声をかけたのは、初めてだよ。

葉子 :・・・

清  :ちょっと、いい?(手をとる)

葉子 :あのっどこへ?

清  :いいとこっ!

オジサン:ぼっちゃ~~ん。

語り :二人は大正の街を繰り出しました。ダンスホールで踊り、活動写真を見たり、充実した時間を過ごしたのです。

葉子に目隠しをする清

葉子 :まだー?

清  :もういいよ。

葉子 :わぁ~~綺麗~~~

清  :ここから見る夕日が絶景なんだ。

葉子 :すご~~い。

清  :・・・そういえば、まだ名前も聞いてなかったね。

葉子 :あ、そうね。

清  :君の名は?

葉子 :葉子・・・あなたは?

清  :清・・・

葉子 :清・・・

清  :名前なんて、あまり意味がないように思える、君が君でいる事には、変わりないからね、

葉子 :そうかもしれないね。

清  :そうさ、名前も、肩書も、家柄だって。

葉子 :清・・・?

清  :僕が僕でいるために、必要ないものさ。

葉子 :どうしたの?

千代 :あら、そこにいるのは、清さん。

清  :千代さん!

千代 :偶然ね、あら、そこにいるメスゴリラは、どちら?

葉子 :メスゴリラ!?

清  :君に関係ないだろ。

千代 :いいのかしら、もうすぐ両家のお顔合わせだけど

葉子 :お顔合わせって・・・

千代 :そんな人と油うってる場合?岩満家の評判を下げるわよ。

葉子 :どういう事?

千代 :あなた知らないの?清さんはね、由緒正しい華族である、岩満家のご子息なのよ。

葉子 :ええ!

千代 :そして私は三谷(みつや)財閥の娘、清さんのフィアンセなの。

葉子 :何ですって!?

清  :親同士が決めた政略結婚じゃないか!僕は認めない!

千代 :あら、そんな事言って大丈夫?今や岩満家の財政は火の車、この縁談は岩満家の将来がかかってるのよ。断ってる場合?

清  :・・・っく!?

千代 :もう分かってるじゃない、そんな女と遊んでる場合じゃなくってよ?じゃ、ごきげんよう~

葉子 :フィアンセがいるなんて、聞いてないわ

清  :でも愛情なんかない!

葉子 :もういい、千代さん・・・だっけ?二人でお幸せに。(走り去る)

清  :葉子!

葉子 :・・・ばっきゃろ~~~~!!!!

ドリー:どうしたんだい?

葉子 :ドリー!

ドリー:泣いてんのかい。

葉子 :別に・・・

ドリー:・・・あんた、また諦めるのかい?

葉子 :それは・・・

ドリー:何のためにこんな時代まで来たのさ、恋をするためだろう?ここで諦めちゃ、女が廃るよ。

葉子 :そうね・・・ドリー!私、頑張る!じゃ!

ドリー:扱いやすい子だ。

語り :そして、顔合わせ当日

千代 :見事な庭ね、ねぇ清さん、案内してくださらない・・・?

清  :あぁ・・・

葉子 :ちょっと待ったー!

清  :葉子!?

千代 :メスゴリラ!?

葉子 :誰がメスゴリラじゃ!(突き飛ばす)

千代 :ぎゃ!

葉子 :行くわよ!

清  :うん!

語り :二人は逃げましたが、千代も諦めません

千代 :追えーーー逃がすなーーー!

葉子 :ああ!追っ手が来る!

清  :どうすれば・・・

オジサン:キキ―!!(車のブレーキ)乗ってきな!

葉子 :オジサン!

語り :かけおちの旅に出かける葉子と清、それを追う千代。さぁ二人は逃げ切れるのか・・・?後半へ続く!

大正メモリアル、前半 ―完―

先生 :はい終了~~~

皆  :えーー

先生 :前半までだろ、ほら作業に戻る。

皆  :は~~~い

先生、退場

アリス:(笑)

森  :アリス?

アリス:やばい、こっそり動画撮った。

萌  :ちょ、まじ!!

あかり:うける!

レイ :みたーい

森  :これ、エンドロールで流せないかな。

あかり:やばーい!

萌  :絶対受けるって。

アリス:先生の許可を得てだね。

あかり:えーどっきりでいくない?

アリス:だめでしょ。

萌  :あの先生ならOK出すって。

藤井登場

藤井 :はざーっす。

萌以外:おはよー

森  :先生が後で職員室来いって。

藤井 :はぁ?何で

森  :遅刻したでしょ。

藤井 :あの教師、昨日は出席とらなかったくせに。

森  :こういう事もあるから、ちゃんと来なよ。

藤井 :うぜっ

藤井、スマホをいじる。その時、電話が鳴る。

藤井 :もしもし、あ、先輩。俺っすか?学校っすよ・・・え、まじすか、ぎゃはははははは・・・!!

萌  :(うるせー)

藤井 :いや、俺も今来たばっかだから、フツ―に遅刻っすよ。はい・・・いや担任が職員室来いって、ハハハ!まぁ、そっすね、そーしますわ。え?はい、いますよ。おい、アリス―!

アリス:何?

藤井 :鏑木先輩が、今日ヒマ?って。

アリス:忙しいけど、昼休みならいいよ。

藤井 :昼休みらしいっす・・・全然来てくださいよ、マジつまんねーんすよ、クラスの奴ら。はい・・・じゃ、また。

藤井、引き続きスマホをいじる。

藤井 :お前、何作ってんの?

森  :リストバンドに皆のイニシャル刺繍してるの。

藤井 :刺繍(笑)よくやるな。

森  :え、面白いよ。

藤井 :俺そういうオカマっぽいのムリだわ。

萌  :(イラッ)

アリス:藤井君、手動いてないけど、大丈夫?

藤井 :ヨユーヨユー、どーせうちわだし、後でテキトーにやっちゃうから。

萌  :テキトーじゃ困るんだけど。

藤井 :あ?

萌  :うちわの下書き、あたしらが頑張って書いたんだから、真面目にやってもらわなきゃ困るって。

藤井 :あっそーですかー

萌  :・・・てゆーかもう職員室行ったら?

藤井 :行く必要ねぇって。

萌  :そんな訳ないでしょ!遅刻したくせに、早く行きなって!

藤井 :うっせーなブス!

萌  :はぁ!

あかり:萌、やめな

森  :藤井君も言い過ぎだよ。

藤井 :んだよ、マジうぜぇ。

藤井、退場

萌  :あいつ、絶対職員室行かないだろ!

あかり:だろうね。

アリス:もー萌、マジにならないでよ。

萌  :だって~

レイ :萌ちゃん、こわ~~い。

萌  :あー!もう、一番嫌い!

アリス:でも藤井君、最近荒れてない?

レイ :うん、いっつも一人でいるし。

萌  :あんなんだから、嫌われてんでしょ!

森  :それさ、僕、聞いたんだけど。

あかり:何?

森  :あ、でも言っちゃだめかな。

レイ :え、気になる~

森  :言わない?

あかり:うん、絶対言わない。

森  :修学旅行の話になるんだけど、3日目の夜に藤井君の班、旅館抜け出して遊んでたんだって、そしたら、地元の不良グループにからまれて、喧嘩になったんだけど、藤井君、逃げちゃったんだよ。

4人 :えっ

森  :皆が不良にボコボコにされてるのに、一人で逃げたんだって。それから男子の間で噂広まって、卑怯者だって言われて、今じゃ仲間はずれ。

4人 :・・・。

森  :まぁ、ずっとこのままって事はないと思うよ。ほとぼり冷めたらまた仲直りするだろうし。

アリス:それも、そうね。

皆、作業に戻る

清美登場

清美 :うーっす。

萌  :清美!

清美 :わりぃ、遅れて。

萌  :ちょっと、もう昼前だよ。

あかり:先生が職員室来てって。

清美 :さっき廊下で会った。た~っぷり説教くらったっつの。

アリス:やっと衣装合わせれる。

清美 :大体でいいだろ。

萌  :よくないって、ほらこれに着替えて。

清美 :うわっ、何だこれ。

萌  :モダンガールよ。

清美 :てか何でコスプレしなきゃいけねーんだよ。ジャージでいいだろ。

アリス:だめだって。

清美 :え~、着たくね~~

萌  :あんたさ、映画も展示もだりぃって言うから呼び込み役になったんでしょ。コスプレぐらいやんなさいよ

清美 :わかったっつの!

清美、着替えの為、退場

萌  :何でうちのクラスあんなんばっかなの。

あかり:てかさ、当日大丈夫かな、遅刻しなきゃいいけど。

アリス:ヘアセットもあるから、早めに来てほしいな。

レイ :リボンとかつけたいよね~こんなのとか(手持ちのリボン見せながら)かわい~

あかり:う~ん、もっと地味なのが良いと思う。

萌  :それにあの、ヤンキーくずれのメイクもどうにかしないと。

レイ :清美ちゃんのメイクした~い、こんなのとか(雑誌見せながら)似合うと思う~

あかり:う~ん、もっとナチュラルなのが良いと思う。

アリス:メイクと髪を考えると、7時半には来てほしいな。

萌  :起きれるかな?

森  :僕、近所だから、朝迎えに行こうか?

あかり:そうしよっか。

アリス:悪いね、森君。

萌  :てか、靴どうする?

あかり:ミュールとか?・・・多分持ってないよね。

アリス:私の貸す?

萌  :そうしよう。

あかり:後はトラブルとかなければなー。

森  :客と喧嘩しなきゃいいけど。

萌、あかり、アリス:はぁ~~~あ。

萌  :もう森君がやる?

森  :いや、僕はワンピース着ないよ。

清美、着替えて登場

レイ :清美ちゃん、かわい~

清美 :うっせ

萌  :いい感じじゃない?

アリス:丈、どうする?もっと詰める?

萌  :ん~、2センチくらい短くするか

清美 :テキトーでいいだろ

萌  :テキトーって・・・

アリス:こういう帽子もいいかも

萌  :お~大正っぽい

あかり:いいね

レイ :レイもかぶりたい~

清美 :げっ何だそれ

萌  :これも付けてよ

清美 :やだよ!

清美、椅子にどかっと座り、足も組んで品がない様子。

あかり:衣装がよくても、モデルがああじゃね・・・

アリス:清美、スカートの時、その座り方はだめよ。

清美 :あ?!

アリス:背もたれによりかからないで・・・足、広げ過ぎ、ほら、腕組まないで、手は膝の上・・・猫背になってる、姿勢はまっすぐ。

皆  :おお~

清美 :何か、窮屈だぞ。

アリス:慣れて

萌  :いい感じじゃん。

森  :うん、女の子っぽい。

レイ :さっきよりかわい~

清美 :(照れ)あー!だめだ、こーゆー女ぶるの苦手。

アリス:女ぶるとかじゃなくて、マナーだから。それにね、服装には、それにふさわしい立ち振る舞いがあるの・・・さっきの姿勢に戻ってみて。

清美、姿勢を正す

アリス:こっちの方が、服も素敵に見えるよね。

皆  :うんうん

アリス:萌が、一所懸命作った服だから、より良く見せたいじゃない?

清美 :まぁ・・・

アリス:それには清美の協力が必要なの。

アリス、清美に帽子を被せる

アリス:似合ってるよ。

清美 :・・・。

アリス:呼び込み役、頑張れそう?

清美 :分かったよ・・・。

あかり:清美、すごくいいよ。

皆  :うんうん

アリス:彼氏も喜ぶよ。

萌  :ええ!彼氏いるの!

清美 :ばらすな。

あかり:誰?誰?

清美 :・・・3年の新井先輩

萌  :え!新井先輩!?

レイ :あ~あの、イマドキ角刈りの人?

あかり:シ~~!!

萌  :あの先輩、怖くて有名なんだよ!

森  :清美に彼氏いたとはな~

レイ :い~な~

アリス:新井先輩、惚れ直すよ

清美 :うっせー、もう行くぞ!

清美、退場

森  :あ~あのカッコのまま行っちゃったよ。

萌  :彼氏に見せに行ったな。

レイ :ワンピ可愛かったね~

あかり:い~な~清美。

萌  :何、着てみたい?

レイ :うん!

あかり:え、いいの?

萌  :ちょうど、出来上がったのがあるから、着てみる。

レイ :着るー!

あかり:いいの~?

萌  :大丈夫、今、男子もいないし着替えちゃえば。

森  :え、僕は?

萌  :森君は・・・別に

あかり:うん

レイ :大丈夫~

森  :・・・一応、後ろ向いておくね。

レイ、あかり着替え始める

鏑木 :お~すげーなお前のクラス

レイ、あかり:!!

鏑木、藤井登場

鏑木 :お前、作ったやつある。

藤井 :これです。

鏑木 :しょぼ。

藤井 :ひでぇ

鏑木 :え?君、何やってんの?

森  :リストバンドに皆のイニシャル刺繍してます。

鏑木 :刺繍?え、マジ?

藤井 :先輩、こいつはこういうやつなんすよ。

鏑木 :うけんな~

アリス:鏑木先輩

鏑木 :アリス~

アリス:昼休みだったんじゃ?

鏑木 :いいじゃん、元気してたか?

アリス:はい。

あかり:何?あれ?

萌  :藤井の部活の先輩、アリスの事気に入ってんのよ。

鏑木 :チアの発表何時から?

アリス:11時からです。

鏑木 :絶対見に行くからな。

アリス:ありがとうございます。

鏑木 :チアの発表終わったらヒマ?

アリス:いや・・・何かあるんですか?

鏑木 :3日目終わったら、うちの部で学祭のお疲れさま会やるから、来いよ。

アリス:あ~、うちのクラスの会とかぶってるんで、ちょっと・・・。

鏑木 :えーまじかよ。

藤井 :いいじゃん、来いって。

アリス:藤井君は、うちのクラスの来ないの?

藤井 :行かね。だから来いって。

アリス:あ~(困惑)

レイ :え~、アリスちゃん、来ないの~?

アリス:ごめんなさい、やっぱり無理です。

鏑木 :分かった・・・

藤井、鏑木ヒソヒソ声で、レイのものまねをしたり、

クスクス笑ったり、感じが悪い

レイ :・・・。

萌  :(わざとらしく咳払い)

藤井 :・・・んだよアイツ

鏑木 :まぁまぁ

藤井 :ブス!

萌  :(シカト)

アリス:・・・あ~先輩のクラスって何やるんですか?

鏑木 :俺のトコ?占いの館。

アリス:占い!?すごいですね。

鏑木 :一人、占い好きなやつがいて、そいつにやってもらうだけだから。

アリス:当たるんですか?

鏑木 :分かんね

アリス:えー

鏑木 :内装とか楽だぞ、教室の壁中に暗幕垂らせば、それっぽく見えるし。

藤井 :いーなー、来年それにしようかな。

鏑木 :マネすんな。

藤井 :うちのクラス、張り切るやついるから、マジめんどーっすよ。

アリス:え、私の事?

藤井 :アリスはいーけどよ。中学の時のが楽だったなー。

鏑木 :お前、どこだっけ?

藤井 :二中っす。

鏑木 :俺、五中。アリスは?

アリス:私は、緑が丘中です。あかりと一緒だったんだ。ね?

あかり:同じクラスにはならなかったけどね。

アリス:高校入って、やっと同じクラス。

あかり:ねー

藤井 :え?お前、アリスと同中?

あかり:うん。

藤井 :それは、残念だな。

あかり:え・・・?

藤井 :だってさー、お前だろー?お前がアリスと中学も一緒って、そりゃ、残念だろ。

鏑木 :バカ(笑)何言ってんだ。

萌  :何?何が残念なの?

レイ :うん・・・。

萌  :意味分かんない・・・。

あかり:・・・。

昼のチャイムが鳴る

鏑木 :あ、昼だ。コンビニ行く?

藤井 :行きますか。

アリス:萌、今日お弁当?

萌  :ううん。

アリス:一緒に購買行く?

萌  :行く、あかりは?

あかり:あ、行こうかな。

アリス:森君とレイは?

レイ :レイお弁当~

森  :僕も

アリス:じゃ、行こっか。

森、レイを残して、他のメンバーは退場

レイ :一緒にいい?

森  :うん。

森、レイ、弁当を食べる準備をする

お昼の放送が流れる。

アナウンス:(ピ・ピ・ピ・ポーン)時刻は12時30分、西條高校放送部、昼ラジオの時間となりました。当番組ではみなさんのご意見、ご相談をどしどし受け付けております。それでは早速参りましょう、2年C組、山口久美さんからのリクエストで~

リクエスト曲がかかる

レイ :これ、誰が喋ってるんだろうね。

森  :アリスの弟だよ。

レイ :へー・・・森君って、自分でお弁当作ってるってホント?

森  :うん。

レイ :えらいねぇ、レイはママに作ってもらってるよ・・・わぁ、すごーい。

森  :そぉ?

レイ :何か、おふくろの味って感じ。

森  :夕べの残り詰めただけだよ。

レイ :え?じゃあ、晩御飯も森君が作ってるの?

森  :うん。

レイ :すごーい。

森  :うち、母子家庭だからさ、母さん遅くまで仕事だし、家事は僕がやってるの。

レイ :そうなんだ、えらいねぇ。

森  :まぁ、好きでやってるけどね。

レイ :森君、手芸部だし、家庭的だね。

森  :本当は、運動部に入りたかったけどね。

レイ :え、そうなの?

森  :家の事もあるしね。バスケとか憧れだったけどなー

レイ :そっか・・・。

森  :あ、ごめん変な話して。

レイ :ううん・・・。

森  :レイは、どぉ?合唱部。指揮者やるんでしょ?

レイ :うん。

森  :すごいじゃん。

レイ :ううん、すごくないの、レイね、へたっぴだから、指揮に回されただけなの。

森  :・・・。

レイ :1年の時から頑張ってたけど、全然上手くならなくて、もう、皆、諦めてるんだ、レイの事。

森  :そんな事・・・

レイ :ううん、そうなの。レイ、不器用だから。

森  :・・・。

レイ :森君、ごめんね。

森  :何が?

レイ :リストバンドの刺繍、レイに教えるの、大変でしょ?

森  :そんな事ないよ。

レイ :レイ、お裁縫も苦手で、お料理だってね、目玉焼きしか作れないんだ。高校生にもなって、だめだよねぇ・・・。

森  :・・・僕も最初は、目玉焼きだったよ。

レイ :え・・・。

森  :料理、始めたての頃は、失敗もよくしたなー。わかめの味噌汁作った時、わかめ入れ過ぎて、汁全部なくなった事があったんだ。

レイ :えー(笑)

森  :裁縫も難しいよね、僕も昔は針に糸通すの苦手だったもん。

レイ :でも今、すごく上手だよね。

森  :いや、全然。

レイ :どうやって上手くなったの?

森  :うーん、何だろう?まぁ、続けたからだろうね。

レイ :続ける?

森  :うん、続けてたらさ、自然とできるようになった。

レイ :そっか。

森  :レイもよかったら今度、手芸部遊びにおいで。

レイ :うん、行く!

森、弁当を食べようとする

レイ :あ!森君、それ(森の弁当)動画撮ってもいい?

森  :え?これ?

レイ :レイチャンネルにアップしたいの、いい?

森  :ああ・・・いいけど。

レイ :いくよー3・2・1・・・皆さんこんにちは、レイチャンネルです!今お昼休み中でーす、クラスメートの森君と、お弁当を食べるところでーす!森君は自分でお弁当作ってるんですよね?

森  :はい。

レイ :今日のメニューは何ですかー?

森  :今日は、肉巻き豆腐の照り焼きと、ブロッコリーのナムルと、ヒジキ入りの卵焼きです。

レイ :おいしそうですねー

動画撮影しながら、フェイドアウト

帰りのHR終了の鐘の音が鳴り、明転。あかりと萌がいる

萌  :まだ帰んないの?

あかり:うん、もうちょっとやってく。

萌  :そう、私先帰るね。じゃねー

あかり:じゃねー。

あかり、一人残って作業する

アリス:お疲れ。

あかり:アリス、帰ってなかったんだ。

アリス:これからチアの練習あるから、それまでいていい?

あかり:いいよー

アリス:順調?

あかり:うん。

アリス:ホント、上手だね。

あかり:そんな事ないよ・・・。

アリス:・・・すごいと思うけどな、あかりの絵。

あかり:アリスの方がすごいよ。

アリス:何が?

あかり:私と違って、何でもできるじゃん。

アリス:え?そぉ?

あかり:中学の時から、アリスはカリスマだったもんね。

アリス:何?何?どした?

あかり:私さ、思うんだ。

アリス:うん

あかり:過去に戻って、人生やり直してみたいって。

アリス:・・・うん。

あかり:中学とか、小学校の頃まで戻って、勉強でも何でも、一所懸命打ち込んでいれば、今よりましな人間になれたと思うの。

アリス:今のままで、十分じゃない。

あかり:全然・・・アリスとか、勉強でトップの萌に比べたら、私って、残念だから。

アリス:・・・。

あかり:・・・あ、ごめん!アリスに言うような事じゃなかったね。今の忘れて。

アリス:うん・・・。

あかり:あーもう、だめだな、今日の私。こういう時もさ、時間が戻らないかなって、思ったりしない?今から10分前に戻れたら、こんな事、言わずにすんだのにっ て。

アリス:10分前なら戻れるよ。

あかり:ん?

アリス:そのくらいの時間なら、余裕。

あかり:何?何の話?

アリス:小学校の頃は昔過ぎて無理だけど、まぁ、長くて3日とか?そのくらいまでなら、可能。

あかり:・・・どういう事?

アリス:私、タイムトラベラーだもん。

下校のチャイムが鳴り、展示物が倒れる。

あかり:あ、倒れた。

展示物を直すあかり

レイ、登場

レイ :アリスちゃ~~~ん

アリス:何~?

教室を出るアリス

アリス弟のアナウンスが流れる。

アナウンス:お知らせいたします。3時40分、下校の時刻となりました。西條高校のみなさん、二度とない今日という一日を、大切に過ごせましたか?また明日、元気に登校するのをお待ちしています。それではさようなら、さようなら。

教室から戻ってくるアリス

アリス:私、タイムトラベラーなの。

あかり:うん、聞いたけど。

アリス:タイムトラベラー、時を行き来する人たち、私の場合、過去3日以内なら、いつでも戻れるよ。

あかり:そうなんだ~(不信)

アリス:まぁ~いきなり信じるのもムリあるよね。でもさ、3日以内で時を戻せるなら、いつに戻りたい?

あかり:え~~?

アリス:例えばよ、いつがいい?

あかり:まぁ、藤井君の残念発言の前には戻りたいよね。

アリス:うん、うん、じゃあ戻ったとして、私があかりと同じ中学なんだ~なんて言わなければ、あんな事言われずにすんだもんね。

あかり:まぁ・・・。

アリス:そうすれば、あかりは傷つかずに済む。

あかり:ありがたい話だけど、現実にはムリでしょ。

アリス:うん、そうね。すぐには信じられないよね。じゃあさ、今からちょっと前に時間を戻してみるよ、3.2.1・・・

アリス、指を鳴らす

アリス:これで戻ったよ

あかり:はい、はい

下校のチャイムが鳴る

あかり:あれ?さっきも鳴ったよね。

展示物が倒れる

あかり:!?

レイ登場。

レイ :アリスちゃ~ん

アリス:何~?

あかり:!!??

教室を出るアリス

アリス弟のアナウンスが流れる。

アナウンス:お知らせいたします。3時40分、下校の時刻となりました。西條高校のみなさん、二度とない今日という一日を、大切に過ごせましたか?また明日、元気に登校するのをお待ちしています。それではさようなら、さようなら。

教室から戻ってくるアリス

アリス:びっくりした?

あかり:・・・え?偶然でしょ?

アリス:フフフ・・・。

あかり:まさか・・・。

アリス:3日以内なら、いつでも受け付けるよ、でも時を戻したら、せっかく書いた絵も元に戻っちゃうけどね。

あかり:・・・。

アリス:じゃ、チアの練習、いってきまーす。

あかり:・・・まじ?

暗転

明転

教室にあかり、萌、レイだけがいる。

萌  :刺繍、大丈夫?

レイ :うん、一個出来たんだ。

萌  :おお~・・・まぁ、何とかアルファベットにはなっているね。

レイ :ごめんね、へたっぴで。でも頑張るから。

萌  :・・・そっか・・・(あかりに)レイ、今日何か頼もしいね。

あかり:・・・

萌  :あかり?

あかり:・・・あっうん。

萌  :どしたの?

あかり:いや、別に

レイ :あ~~~疲れた~~もう休憩する~~

レイ、スマホを取り出す

レイ :・・・あれ?ねえ、見て~~

萌  :何?

レイ :昨日UPした動画、すっごい見られてる~。

萌  :んん?何の動画?

レイ :森君のお弁当の動画。

あかり:(見てみる)ええっ!

萌  :バズってるじゃん!

レイ :何でぇ?

森、藤井登場

森  :暗幕届いたよー

萌  :森君!

レイ :見て~、すごいよ~

森  :え~?

萌  :森君の動画、バズってる!

森  :え!

森、動画を見てみる

森  :何で?

レイ :分かんない~?

萌  :・・・男子高生がお弁当作りっていうのがいいのかもね。シリーズ化してみたら?

森  :ええ~

レイ :いいね~

アリス登場

アリス:お疲れ~、先生から差し入れだよ~

萌  :アリス―

レイ :見てー、森君の動画が人気なのー

アリス:え、どんなの?

レイ   :森君の作ったお弁当の動画。

アリス:(動画を見ながら)へぇ~いいねぇ、シリーズ化したら?

萌  :だよねー、広告とかつけてみよーよ。

アリス:てか、清美も出してみる?

レイ :それいいー!

アリス:ヤンキー少女、お弁当作りに挑戦?

森  :ヤンキーって(笑)

萌  :やばーい、絶対人気出るでしょ。

友達の活躍に、取り残された気分のあかり、藤井。

お互い、目が合うが、すぐそらす。

森  :あ、暗幕届いたよ。

アリス:あ、来た?どうやって貼ろっかな~?

萌  :やっぱさ、窓に貼るだけじゃなくて、スクリーンの後ろにも貼りたいよね。レトロな雰囲気出そうじゃない?

森、萌、レイ:いいねぇ~

アリス:机にかけて、展示物飾るのもアリじゃない?

森、萌、レイ:いいねぇ~。

萌  :いい感じじゃない?

あかり:あ、うん・・・。

萌  :本番楽しみー

アリス:あ、そうそう。明日撮影なんだけど、皆エキストラで出てくんないかな?

レイ、萌、森:えー!

アリス:やっぱ全員で出たいからさ

レイ、萌、森:やったー!

萌  :やったね

あかり:う、うん。

レイ :どんなの~?

アリス:ダンスホールのシーンで客として・・・藤井君もお願いね。

藤井 :いや、俺は出なくていいよ

アリス:え・・・そっか。

萌  :衣装何にしよー?

アリス:でね、ダンスホールで清が葉子と踊る前に、他の女の子と踊るシーンを入れようと思って。

森  :そこで葉子がヤキモチを焼く、みたいな。

アリス:そうそう!で、その女の子を、あかり、やってくれないかな?

あかり:え?

レイ、萌、森:おお~~

萌  :やったじゃん。

アリス:お願いできる?

あかり:いや・・・私も出なくていいや。

アリス:え?

萌  :出ないの?

あかり:うん、レイかわりにやって。

レイ :えー?

アリス:そんな、難しくないよ?

あかり:いや、ダンス苦手だし・・・。

アリス:・・・そっか、じゃレイ、マネしてみて。

レイ :うん。

レイ、ものすごく不器用なステップを披露する。

それを見て、ニヤニヤする藤井。

萌  :あかり・・・。

あかり:わー、レイ上手上手。本番もよろしくね。

レイ :う~~ん。

レイ、差し入れを飲もうとする。

レイ :あ、皆でこれ持って、写真撮ろー。

藤井 :女っていちいち写真撮りとがるよな。

森  :僕も入っていいー?

藤井 :えー

レイ :はい撮るよー、皆寄ってー

アリス、あかりの隣に来る

レイ :はい、チー・・・

あかり:あっ!

萌  :何っ?

あかり:私いいや

レイ :え

あかり:皆で撮って。

レイ :・・・じゃいくよー、はい、チーズ。

萌  :・・・どしたの?

あかり:なっ何がぁ?

萌  :・・・いいけど。

アリス:じゃ、映画の方、行くねー。

皆  :いってらっしゃ~い。

レイ :清美ちゃんと写真撮りたいな~

萌  :あのコ、今日来ない気かな・・・もう3時だよ。

鏑木、登場

鏑木 :ちーす

藤井 :先輩、どうしたんすか?

鏑木 :ちょっと頼みがあってな

藤井 :何ですか?

鏑木 :お前のとこ、暗幕あるか?

藤井 :はい。

鏑木 :ちょっとそれ貸してくんねーかな。

藤井 :ああ、多めに頼んであるんで、多分大丈夫っすよ・・・なぁ森。

森  :はい、何枚かは。

鏑木 :どんくらいある?

藤井 :この2箱ですけど。

鏑木 :おお~けっこう頼んであんじゃん。

鏑木、箱を物色する

鏑木 :ちょっとさ、俺らのクラス、暗幕いっぱい使うのよ、これ、二つとも持っていっていいか?

藤井 :え?ははは(冗談だよね?)

鏑木 :いや、マジな話。

藤井 :・・・え?あ~・・・

鏑木 :頼むよ~、うち困ってるんだ。なぁ、いいだろ?

萌  :ちょっと!全部は無理ですよ。うちだってたくさん使うんですから。

鏑木 :あ?

萌  :・・・自分のクラスで使う物は、自分で頼むべきですよね?

鏑木 :何?先輩に逆らう訳?

萌  :そういう訳じゃ・・・

鏑木 :ねぇ藤井―!いいよなー!

藤井 :あ、はぁ・・・

萌  :藤井君!

藤井 :別にいいだろ、暗幕くらい。

萌  :何言ってんの!?

鏑木 :はいはい、藤井の許可出ましたー。そういうわけで、持ってくから。

萌  :待ってください!

鏑木 :(チッ)しつけーな、藤井がいいって言ってんだろ。

森  :あの・・・何で暗幕足りてないんですか?

鏑木 :だからうちのクラスはたくさん使うの!何回も言わせんな。

森  :でもそれは、各々の予算で賄うものですよね?うちが貸さなきゃいけない義務はないハズですけど。

鏑木 :ごちゃごちゃうっせーんだよオカマが。

萌  :なっ

レイ :森君、オカマじゃないもん!!普通の男の子だもん!謝ってよ、森君に!

レイの迫力に、皆が驚く

鏑木 :・・・何だよ、お前。

レイ :謝って!

鏑木 :はぁ?謝って~~だ?知らねーよ、誰が謝るかバーカ!

レイ :・・・謝ってよ!(鏑木に詰め寄る)

鏑木 :わぁ!寄るな、キタネェ!透明バリア!

レイ :あやまっ・・・

鏑木 :やめてよして触らないで、垢がつくから~♪あんたなんて嫌いよ、顔も見たくない♪、ふんっ。(ビビディ・バビディ・ブーの曲で)

レイ :うわ~~~ん !!

レイ、泣きながら教室を飛び出す

鏑木 :・・・じゃ、持っていくから。

萌  :やめてください!

清美、登場

清美 :おいっどうした?

萌  :清美!

清美 :レイのヤツ、めっちゃ泣いてたけど、何があった?(鏑木に気づく)あん?誰だてめー?

鏑木 :てめーだ?誰に向かって口きいてんだ?

清美 :だから、誰だって聞いてんだよ。

鏑木 :3年の鏑木だよ。おめーこそ何なんだ?

清美 :2年の吉田清美だよ。

鏑木 :えっ・・・!?新井君の・・・。

清美 :おめー3年のくせに、なんで2年の教室にいんだよ?

鏑木 :いや・・・あの・・・

萌  :この人が、レイの事泣かせたの!

清美 :あ?どういう事だ?

萌  :さっきいきなり来て、うちらの暗幕奪おうとしたんだから、それに反発したら、逆切れしたの!

清美 :な~る~ほ~ど~

鏑木 :いやっあのっちょっとお借りしたかっただけだったんですけど・・・

森  :僕もオカマって言われた~

清美 :てめ~調子に乗んなよ~~

鏑木 :!!

先生、レイに連れられ登場

先生 :何だ何だ、どうしたー!?

萌  :先生!

レイ :この人が、いじめるの!

先生 :鏑木、どうした?

鏑木 :あ・・・

先生 :何やってんだ、2年の教室で、説明してくれよ。

鏑木 :・・・!ごめんなさい!!

先生 :何がだ?

清美 :こいつ、うちのクラスの暗幕、盗ろうとしたんだ。

先生 :おいおい、何でそんな事したんだ。

鏑木 :俺のクラスも暗幕使うんだけど、俺の発注ミスで、(ポケットから出す)こんなのしか届かなかったんだ。

鏑木の手にはバンダナサイズの暗幕

皆  :ちっさ!

鏑木 :うち、暗幕たくさん使うのに、これじゃ全然足りなくて。

萌  :てかこれ、暗幕ですらないんじゃ・・・。

森  :バンダナ?

鏑木 :占いの館だから、最悪なくても成り立つけど、あまりにも殺風景になるし

清美 :・・・まーな。

鏑木 :俺のミスだから、皆すげー怒ってて、何とかしようと思って、藤井のクラスに来たんだ。

先生 :・・・森、暗幕どれくらいある?

森  :ここにあるだけです。

先生 :これくらいで足りるのか?

鏑木 :なんとか

萌  :先生!?

先生 :これ貸すから、それで何とかしろ。

鏑木 :いいんですか・・・。

萌  :何で・・・。

先生 :もう、仕方ない。今から発注しても間に合わないし・・・この小さいの、何枚ある?

鏑木 :10枚です。

先生 :じゃそれ、うちと交換な。

森  :え?それでどうするんですか?

先生 :これをつなぎ合わせたら、窓隠せるくらいにはなるだろ。

萌  :だって・・・スクリーンの後ろに貼ったりとか、机のクロス替わりに使う予定だったんですよ。

先生 :もう、しゃーない。鏑木は今年最後だけど、お前らは来年もあるんだ、譲ってやれ。

萌  :3年のミスを、うちらが尻拭いするんですか・・・

先生 :橋本・・・

鏑木 :ごめん!本当に・・・

萌  :もう、勝手にすれば!

萌、退場

あかり:萌!

暗転

明転、皆、暗い表情で作業中。

小さい暗幕が入った段ボールがある。

アリス、登場。

アリス:お疲れ。

あかり:アリス。

森  :聞いた?

アリス:うん、先生から聞いた。萌は?

あかり:まだ戻ってこない。

アリス:そう・・・。

清美 :気持ちは分からんでもないけどな。

森  :萌、はりきってたもんね。

レイ :ライン送ったけど、既読つかないよ~。

アリス:そっとしておこう。

あかり:・・・!アリス!

アリス:何?

あかり:思ったんだけど、コレ(指鳴らすジェスチャー)

アリス:え?

あかり:コレ!(指鳴らすジェスチャー)時間を戻せば、解決するんじゃない?

アリス:へ?

あかり:3日前なら可能なんでしょ?時間を戻して、あの先輩助けようよ!

清美 :何言ってんだ?

あかり:だって、アリスはタイムトラベラーだもん!

アリス:・・・あ~あれ?信じちゃったの?

あかり:え?

アリス:弟が、放送部なんだよね。

あかり:・・・え

アリス:あの後、弟にライン送って、もう一回放送かけてもらうように頼んだの。時間が戻せる訳ないじゃん。

あかり:え!?だって、展示倒れたり・・・

アリス:たまたまだよ、たまたま。

レイ :何の話~~?

アリス:いや、昨日ね・・・

あかり:あー何でもない何でもない!忘れて!

皆  :・・・

あかり:よしっ皆、作業に戻ろう!

清美 :何だ、あいつ。

森  :あーどうしよ、これ萌じゃないと分かんないんだよな~

アリス:今日はもう帰ってこないかな・・・?

森  :困ったな~

藤井 :ったく、あいつ、何熱くなったんだ。ばっかみてー。

皆  :・・・。

清美 :藤井よ、お前、何の責任も感じない訳?

藤井 :は?何が?

清美 :お前の先輩のせいでこうなってんだろ?

藤井 :俺に何の責任があんだよ?

清美 :お前さ、あの先輩が来た時、ちゃんと断ったのか?「あっどーぞどーぞ、持って行ってください」なんて言ったんじゃねーの?お前のことだから。

藤井 :・・・。

清美 :普段から上級生にぺこぺこしてるもんな。

藤井 :ぺこぺこなんてしてねぇよ。

清美 :お前がそんなんだから狙われたんだよ、うちのクラスが!

藤井 :何だよそれ、全部俺が悪いってのか!?

アリス:ちょっとやめてよ。

清美 :全部とは言ってねーよ。少しはてめーに原因があるって言ってんだよ!

藤井 :何で俺ばっか責めるんだよ!じゃ、立花は!?立花なんて黙って見てただけだろ!

あかり:!

清美 :今あかりはカンケーねぇだろ!!お前、本当に卑怯なやつだな!だから修学旅行でも・・・

森  :清美!

藤井 :・・・

藤井、退場

森  :藤井君・・・

あかり:・・・

重苦しい空気の中、HRのチャイムが鳴る。

他のクラスメイトが入ってくる音。

先生 :席つけー・・・あ、席ないんだった。そのへんにテキトーに座ってー、HRを始めるー、前、話した大学説明会の申し込み、明日までだぞ、締め切りすぎたら参加できないから、まだ出してないヤツ、絶対明日までに提出しろよー。黒板に書いておくからー

寂し気なBGMと共に、進行するHR。

浮かない顔をして聞いている5人

ゆっくりフェイドアウト。

朝の訪れのように、ゆっくりフェイドイン。小鳥のさえずり。

誰もいない教室に、あかりが入ってくる。

段ボールにある小さい暗幕を取り出し、ガムテープでくっつける。

藤井登場。

藤井 :あっ

あかり:あ・・・早いね。

藤井 :俺だけだと思ってたのに

あかり:藤井君も、暗幕・・・?

藤井 :おお。

あかり:私も・・・

藤井 :ガムテある?

あかり:これ。

気まずい空気の中、作業をする二人。

藤井 :あの・・・

あかり:え?

藤井 :橋本から何か連絡あった?

あかり:ああ、勝手に出てってごめんって。

藤井 :そう

あかり:気にしてたんだ。

藤井 :別に・・・。

藤井、黒板の文字に気づく

藤井 :あれっ!?

あかり:どしたの?

藤井 :説明会申し込み、今日までか!

あかり:あ、そっか、昨日HR出てないもんね。先生が言ってたんだ。

藤井 :うわ~忘れてた~

あかり:家に取ってくれば?まだ間に合うよ。

藤井 :いや、いい。

あかり:ここは私がやっておくから、行っといで。

藤井 :いいんだ。

あかり:でも・・・

藤井 :そういう運命だったんだ。

あかり:?

藤井 :大学、行きたいけど、親には卒業したら就職しろって言われているから。・・・話だけでも聞いてみたかったけど、やっぱりそういう事だよな。あきらめるよ。

あかり:そうなんだ・・・学費がネックになってるなら、奨学金とか。

藤井 :あんなのは、借金みたいなもんだろ。

あかり:返さなくてもいい奨学金だってあるじゃん。

藤井 :成績良ければな、俺にはムリ。

あかり:・・・まだ2年だし、決めるのは早いと思うけど。

藤井 :そーだけど、お前は?どうすんの、進路。

あかり:私は、短大。

藤井 :何の短大?

あかり:保育士になりたいから、そっちの方面。

藤井 :保育士?美術系じゃくて?

あかり:絵は趣味だから

藤井 :ふ~ん。

あかり:子供たちの似顔絵書いたりとか、そういうのがいいんだ。

藤井 :へー、でも立花が保育士って大丈夫か?

あかり:何が?

藤井 :何か、できなさそー。

あかり:・・・そうだね。

藤井 :お前に子供預けるのとか、無理(笑)

あかり:私なんて、アリスに比べたら、残念だもんね。

藤井 :アリス?

あかり:藤井君にとって、残念な人なんでしょ?私って。

藤井 :・・・そんな事言ってねぇよ。

あかり:言ったよ!

藤井 :言ってねぇって!

あかり:言った!!この間、アリスと私が中学も一緒だって話になった時、何か、残念だな~って言ったじゃん!!

藤井 :・・・ああ~あれ

あかり:私は・・・!アリスと一緒にいるのが残念なんでしょ!?一緒に映画に出たり、写真撮ったりしない方がいいんでしょ!?

藤井 :そこまで言ってねぇだろ。

あかり:言った!言ったのと同じだもん!

藤井 :何だお前・・・

あかり:私、すごい傷ついたんだから・・・

藤井 :んな、大げさな・・・

あかり:何よ!

藤井 :あんなの、その場のノリだろ。

あかり:ノリ!?

藤井 :本気で言ってるわけねーじゃん、ホラ、本当にブスな奴にブスって言えないだろ。そういうノリだよ。

あかり:意味分かんない。

藤井 :お前ら女子は何で冗談通じないわけ?ちょっといじられたぐらいでギャーギャー

あかり:何よ!悪い!?

藤井 :お前はさ!絵描けるじゃん

あかり:・・・はい?

藤井 :あんなでかい展示任されてるじゃん。

あかり:うん・・・

藤井 :そういう特技があるくせに、何で堂々としてられないんだよ?

あかり:・・・。

藤井 :昨日だって、・・・俺に責められそうになったとき、吉田がかばってくれたろ。そういう仲間がいて、何で、いちいち卑屈になるんだ?ちょっと言われたくらい、テキトーに聞き流せよな。

あかり:・・・確かにそうかもしれないけど、藤井君が言うことじゃないよね?

藤井 :いや、そうだけど。

あかり:どういう気持ちで語ってるの?

藤井 :別にいいだろ!こっちは励まそうとしてんのに

あかり:そんなの、頼んでないし!

藤井 :あっそーですかー!

あかり:大体、ノリでも冗談でも、くだらない事ばっかり言ってんじゃないよ!そんなんだから、男子にハブかれるんでしょ!

藤井 :うるせー、ブス!!

あかり:・・・。

藤井 :・・・。

作業に戻る二人

鏑木登場。

鏑木 :あれ?

藤井 :先輩。

鏑木 :何だ、いたのか。

藤井 :どうしました?

鏑木 :いやぁ、暗幕つなげるの、早く来てやろうと思って。

藤井 :実は、俺らも

鏑木 :何だ、そうだったんだ。皆が来る前に終わらせようと思ってたけど。

藤井 :そうだったんですね。

鏑木 :・・・ごめんな。

藤井 :いいっすよ。

鏑木 :そっちの、あの・・・

あかり:立花です。

鏑木 :・・・あぁ、あんたか。

あかり:?

鏑木 :いや、藤井がうちのクラスの立花がすげー絵を描くって言ってたから。あんたの事だったんだな。

あかり:・・・

藤井 :・・・

鏑木 :・・・何?この空気・・・。

アリス登場。

アリス:あれ?皆・・・

あかり:アリス。

アリス:早いねー

藤井 :そっちこそ。

アリス:私は映画の朝練あるから。ちょっと見てー

アリス、暗幕の入った段ボールを台車で持ってくる。

鏑木 :えっ

あかり:それは!

アリス:すごいでしょ

藤井 :どうしたのよ、これ

アリス:パパの知り合いに頼んで、貸してもらったの。

あかり:すごーい。

藤井 :やった!

鏑木 :え、じゃ何の為に俺ら早起きしたの。

アリス:・・・ごっめーん、まさか早く来てるとは思わなくて

萌、登場

萌  :あれ・・・皆。

あかり:萌ー!

萌  :昨日は出て行ってごめん。

あかり:いいよー、見てこれ

萌  :えっ

あかり:アリスがもってきてくれたの。

レイ、森登場

レイ :皆いるー

森  :あっそれどうしたの!?

あかり:アリスが持ってきたの。

レイ :すっごーい

森  :よかったね、萌

萌  :うん。

鏑木 :あのっ皆・・・本当に、迷惑かけて、ごめん。

藤井 :いいですよ

レイ :ゆるすー

鏑木 :・・・ありがとう。

清美、登場

清美 :はざっす

あかり:清美!

森  :珍しいね、こんなに早く。

清美 :何か、目覚めてよー。

鏑木 :おはようございます。

清美 :!?おはよ・・・

鏑木 :昨日はすみませんでした。

清美 :いいけど・・・。

レイ :見て―暗幕。

清美 :おー、どうしたコレ。

レイ :アリスちゃんがもってきてくれたの。

清美 :やるな。

清美、アリスにハイタッチ

清美 :じゃ、お前これ持って帰れよ。

鏑木 :はい。

鏑木、小さい暗幕の入った段ボールを持って、退場

アリス:今日ね、朝のHRつぶして、そのまま撮影に入るから。

萌  :OK

アリス:あかり、ダンスシーン、だめかな?

あかり:え・・・

アリス:台本読みの時、あかりいい感じだったから、やってほしかったんだよね。

あかり:・・・

レイ :レイもあかりちゃんが出たほうがいいと思う~。

あかり:あ~・・・

藤井 :立花、出ろよ。

あかり:・・・仕方ないなぁ、出るよ。

アリス:本当?ありがとー

あかり:藤井君も出てよね。

藤井 :は?何で!?

あかり:人に出ろっていっておいて、自分だけ出ないのも、ねぇ?

皆  :そーだそーだ

藤井 :わかったよ

アリス:やったーこれで全員参加だね。じゃー皆行くよー!

皆  :おーーー!

全員、退場

優しいBGMと共に、ゆっくりフェイドアウト

フェイドイン、夕焼け色に包まれている放課後の教室、

アリス、席に座ってスマホをいじったりしている。

藤井、急いだ様子で登場

藤井 :(ぜーぜー)・・・先生は?

アリス:さっきまでいたけど

藤井 :まじか

アリス:どしたの?

藤井 :大学の説明会の申し込み、持ってきたから。

アリス:あー今日までだもんね。

藤井 :先生、どこ行った?

アリス:分かんない。

藤井 :え~

アリス:そのうち教室に来ると思うよ。私、クラス展示の紹介文渡す約束しているから。

藤井 :俺、部活あんだよなー。

アリス:ああ、渡しておくよ。

藤井 :いいのか

アリス:うん。

藤井 :ありがと・・・じゃ、俺行くけど。それ(申し込み)マッジで頼むぞ。

アリス:OK、いってらっしゃ~い。

アリス、藤井の申し込みを引き出しに入れる。

スマホが鳴る

アリス:もしもし、パパ?・・・うん大丈夫、皆よろこんでたよ。ありがとうね・・・こっちは順調だよ。無事、撮影も終わったし・・・え?・・・いやいや、使ってないって、あれは。ちゃんと真面目にやってますよ・・・うん・・・うん、じゃ、また。

先生、スーツに着替えて登場

先生 :(急いだ感じで)あ~忙し~。出来たか?

アリス:あ、はい

アリス、鞄から紹介文を取り出し、渡す。

先生 :おう(受け取る)

アリス:着替えたんですか?

先生 :これから出張だからさ

下校のチャイム

先生 :もう行くわ。じゃ、預かったから。

アリス:はい、お疲れさまです

先生 :おつかれー

先生退場

下校のアナウンス

アリス:帰るか

帰る準備をするアリス、引き出しの中の藤井の申し込みに気づく。

※この時、申し込みは机に入れっぱなしで良い

アリス:あ!!!・・・やばっ・・・先生!(廊下に飛び出す)いない、もう出ちゃったかも・・・しょーがない。

アリス、指を鳴らす

先生、登場

先生 :(急いだ感じで)あ~忙し~。出来たか?

アリス:あ、はい。

アリス、鞄から紹介文を取り出す。

アリス:紹介文と、大学説明会の申し込み用紙、藤井君のやつ預かってて・・・

先生 :おお、藤井の

下校のチャイム

先生 :もう行くわ。じゃ、預かったから。

アリス:はい、お疲れ様です。

先生 :おつかれー

先生退場

アリス:やれやれ

下校のアナウンス

アリス、帰る準備をして、退場。

アナウンス:お知らせいたします。3時40分、下校の時刻となりました。西條高校のみなさん、二度とない今日という一日を、大切に過ごせましたか?また明日、元気に登校するのをお待ちしています。それではさようなら、さようなら。

終わり

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