第73回十勝支部演劇発表大会2日目を観て
さて2日目
どんどんいきましょう
①鹿追高校 「鹿追高校演劇部 in カナダ」
舞台でのリアタイではなく、映像でのお届け。
なぜ映像かというと
「鹿追高校には2年生の9月末から「カナダ留学」という行事がある、そしてなんと、演劇部員は全員2年生。2023年、鹿追高校演劇部は十勝支部大会に出場できないのか・・・。誰もが諦めかけたその時、生まれた逆転の発想。そうそれが・・・『鹿追高校 in カナダ』」
ってパンフに書いてました。
そしてその下にでっかい吹き出しで「カナダからお届け!」って書いてあるんですよ。
え?カナダから中継でもすんの?
って思ってましたが
聞いた話だと、事前に地元のホールで撮影したものを映像で流すんだそうで。
嘘つきやがって・・・!
しかし、高文連で映像ってお初。
期待と、どうなるか分からない緊張感で観ていた。
実際、音割れなのか、前半聞き取れない箇所がけっこうあったり(すまん!)
映像も粗目なので、表情とか全く見れんかったが。
でも、伝わるんですよ。役者さんたちの気持ちが、
みんなのオーラなのか、発している気なのか、
4人のキャラクター性は伝わってきた。
主人公はカナダ留学に行きたくないし、後ろ向きだけど
友達は楽しみにしていて、
そのギャップに悩む姿が
自分の修学旅行での出来事と重なった。
中学時代は修学旅行なんぞ行きたくなかったが、まぁそこは割り切って
移動中に山口百恵全集を聞く事を楽しみに3泊4日を乗り切った。
高校時代は、人間関係に悩んでいる1コ上の先輩が、「修学旅行行きたくない」と泣いていたり
修学旅行なんて単なる行事だけど、あの頃の私たちには一大事だった。
そんな思い出が蘇った。
ま、カナダ留学の方がよっぽど重い行事だろうけど。
日本語吹き替えの伏線の張り方もそうだし
内容は割と好きな、いや、かなり好きな部類だ。
ラストも映像ならではの終わり方。
良い作品でした。
②帯広北高校「アンダーグラウンド」
タイトル通り、地下の香りのするセット。
保護された犬と、猫の会話がメイン。
犬が女の子で、猫を男の子がやっていたのが良かった。普通逆になりがちだけど。
犬役の子はまだ1年なんですね。堂々とした芝居はお見事でした。
職員と先生のやり取りであった、コミュニケーション能力の話はとても共感できた。
登場人物全員が、何かしらの影を背負っている印象であったけど
その哀愁こそが、この作品の見どころだ。
子供の歌うシーンが、その空気作りを成功させていたと思う。
観終わった後も、後を引くような感覚が続いていたのだった。
③大谷高校 「アイ」
部員、多っ
それだけ演劇に興味をもつ民がいるってことでめでたい。
とある博士が、恋人の機能に特化したAIを開発し、世に送り出すという話。
外見も知能も人間と相違ないようにプログラミングされた恋人型AI
汚れた大人の私は、最初「え、それって・・・」と思ってしまったが
実際はそんなことなく(あたりめーだ)
カラフルなワンピースを着たキャラクターのあるAIたちや、CMやTikTokの映像あり
前回とがらっと作風が変わっていたが、見ごたえ抜群の仕上がり
博士も天才ではあるが、デートでの失敗やAIたちのやりとりが人間くさくて、そこのキャラクター性もよかった。
何体もAIを作っていたが、500億というとんでもない高値をつけて、ほぼ売る気のない博士。
亡くなったパートナーの喪失感を、AIで埋めようとしていたのだろうか。
照明の使い方などで、寂しさをうまく表現できていたように見えました。
多くを語らないで、余韻を残した終わり方が好印象
大谷高校演劇部の新たな一面を見れた作品でした。
④三条高校 「つぶあんとチーズ」
今大会のトリである作品。
学祭の売り上げと食券の整理をする桃花と夏美
おやきを食べつつ、雑談を交えつつ、小銭を数える。
正反対と思われる二人の掛け合いが、なんだか心地いい。
お札を折って、笑って見えるー、の小ネタ。
井出先生って、お金好きだよな。
私が唯一参加した2004年の高文連を思い出したんだが、
その頃、井出先生は幕別高校演劇部で顧問をやっていて、「かけおちファンキーモンキーベイビーズ」という脚本を書き、部を全道大会へ導いた。
その作中で、泣いている赤ん坊を、男がお札であやすシーンがあった(なんつーシーンだ)
そんな場面がフラッシュバック
真面目な教師のとしこちゃんが、急にXジャパンのトシに扮する。
パンフに特殊メイク係がいたのはそのせいか。
試験というワードの伏線回収と、背中を向けての小銭を床にたたきつけるシーンが好きだ。
青春の一コマ
それを光る芝居で魅せてくれた。
以上っ2023年高文連の感想でした。
今しみじみ思い返してみて、思ったのは
私が芝居を観る目的の一つは、自分を奮い立たせたい、というのがあるんだが
今回は十分にそれを果たせたと思う。
一人でも舞台に立つチャレンジ精神
映像でも参加する心意気
みんなの、芝居に対する熱量が感じられて
なんだか、勇気をもらえた。
そんな高校生たちに、感謝。
では、また来年。