あとがき~放課後、アリスとまじないを。

私、猫宮書店の初長編でもあるこの作品、タイトルに‟放課後”をつけたのは、2019年の全国高校演劇大会に出場した帯広北高校の‟放課後談話”が大好きでして、、、自分もタイトルに放課後をつけたいと思ったからです。

 この作品は私の実体験が元になっています。詳細は、前の職場で働いていた20代前半の頃、私の同期に美人で性格が優しい同い年の女の子がいたんですね、(仮にA子としますか)同僚との他愛もない会話から、私とA子が同期だって話題になった時、その場にいた先輩が

「えー、お前A子と同期なの?残念だな、いやじゃねーの(笑)?」って言ったんですね。

 言われた瞬間、唖然としましたが、私もすでにいい大人だったので、軽く聞き流しました。

 その後もその先輩は、A子の名前が出る度に「こいつ同期なんですよ、残念でしょー?」と言ってたんです。

 でも周りもいい大人なので、誰も賛同しなかったし、むしろシカトされていたので、その先輩もそのうち言わなくなりました

 それからはそんな事も忘れて数年経ち、その職場も辞めてしまったのですが、最近ふと思い出したんです。残念発言を、

 「これ、大人だったからいいけど、思春期で言われてたらどうなっちゃうんだ?」

 そう思った瞬間、この作品の構想は出来上がってました。

 この作品のテーマは、「完璧な人間などいない」です。作品の中で、アリスは何でもできる完璧な存在として登場させていますが、そんなアリスに対して、あかりは自分と比べて落ち込んでしまいます。でも実際のところ、アリスは特殊能力で自分のミスをカバーしていたにすぎず、アリスの完璧さはまやかしだったんです。

 完璧じゃないからミスだってするし、誰かを傷つけたり、傷つけられたり、それでも助けて、助けられて、許して、許されて

そうやって、人とつながっていくもんなんです。

 その中で目立たなくても、つながりを大切に出来れば、充分じゃないかと思います。

 キャラクター達について

●立花あかり編

この作品の主人公はあかりです。えーと思われる方もいるでしょうが、彼女を軸にして書いたつもりなので、あかりが主人公です。内容的に自己主張の強いタイプだと成り立たなくなっちゃうので、藤井とのやり合いのシーン以外、控えめに書いてました。

 自分の中であかりは、物静かに一人、黙々と絵を描いている姿が、何かいじらしい・・・そんな少女をイメージしてました。

実は藤井もあかりのそんな姿が気になっており、ついいじるような発言をしてしまう、という設定があったり・・・。

 普段おとなしめなあかりですが、芝居をやらせたらけっこうノリノリでやってくれたり、絵も上手いし、充分魅力的な女子なんですよ。ただ、本人がそれに気づいてないだけでね。

 彼女にとってこの学校祭は、自分を知れるきっかけになったんじゃないですかね。

●アリス編

 アリスは、一人だけ苗字考えてません。思いつかなかったから。 

 彼女のカリスマ性は結局、特殊能力ありきのものだった訳だけど、でもそれで自分の事しか考えてないずるいヤツとかではないんですよ。

藤井の申し込みの件はただのおっちょこちょいだし、学祭で自分が主体になって動こうとしたり、サボっている藤井に対して注意する責任感もあるし。

 時間を戻せなくても、真面目な良いヤツだと思ってます。

 ちなみにやる気のない清美に呼び込み役をあてがったのは、作中には書いてないですが、アリスです。

 「映画も展示もだりいからやりたくねぇ」的な事を清美が言い、クラスか不穏な空気が流れ、それを察したアリスが

 「あっじゃあ・・・」と呼び込み役を提案した、という裏話があります。

 清美の衣装合わせでも、椅子の座り方のレクチャーをしているくだりから、ちゃんとした家柄の子であることがうかがえます。でもお嬢だから自分に甘い一面があるという。

 そんな彼女はてんびん座でしょう。(いきなり占い)映画と展示を行ったり来たりして、うまくまとめるところとかそんな感じがします。

●藤井亮太編

 しょっぱなから嫌なヤツオーラ漂う彼ですが、男子にハブかれたり、進路で悩んでたり、一番苦渋をなめている男。でも学祭きっかけで仲直りするんじゃないですかね。

 進路は解決していないが、前向きになったところで終わらせました。頑張ってほしいですね。

 でもあかりを凹ませた張本人であるのですが、彼自身は悪気なくやっているという。作中で「本当にブスな奴にブスって言えない」とあるように、本気ではないんです。彼にとって、軽くいじってる程度の事なのです。

 でもそれって、お互いに信頼関係がないと成り立たないものじゃないですか。

 そこを分かってないと、言われた側は傷つくし、周りにいる人たちも気まずい思いをするし、結果、誰も幸せにならないという。

 まぁ、藤井の場合、あかりの事が気になっているからついいじってしまう、そんな設定もあります。

 だから陰ではあかりの絵の事を褒めていたのですね。

 藤井はこの学祭を通して、少し大人になれればいいな、とそんな思いで書きました。

●橋本 萌編

 萌は勉強はできて、しっかり者、責任感もあるが、気が短いのが玉にキズ。

 そんな彼女は間違った事は間違っていると、ちゃんと主張できるタイプなので、たまに煙たがられる事もあったり、

 だから主張の少ないあかりや大人な森、天然なレイとつるんでいる彼女。

 こいういタイプはクラスの派手系のグループとはウマが合わないだろうと。だから派手系がハバをきかせる映画班にはまわらず、展示の方へ行った。という経緯を想像していました。

 手芸の腕はあるので、彼女のいなくなった時、森が困っていたり。案外萌は、いなくなってからありがたみを知られるタイプかもしれないです。

 周りと衝突する事があっても、正しくあろうとするところは大事にしてほしいですね。

●森 皇成編

 男友達より女友達の方が多いタイプの男子っていますよね。異性として侮られがちだけど、ソフトな物腰で女子たちを癒してくれる。森はそんなイメージでした。

 彼は母子家庭ですが、死別ではなく、何らかの事情があって離婚をした設定です。そこで母親が苦労しているのを見て、家事を率先してやるようになったと。

 子供の頃から色々経験しているから、同世代の子らより達観しているのです。

 森は、女子の中で一人混ざって手芸をして、それを面白可笑しく見られても平気でいられる面もあり、本当の男らしさって、こういう事なのでは、と思います。

●山田レイ編

 自分がかいた作品を後々読んで、「これ、本当に自分が書いたのかな?」と思う事があります。

 このレイってキャラ自体もそういう目で見てしまうんです。

 最初は物語のアクセントとしての天然キャラでしかなかったのに、いつの間にか不器用でも頑張ろうとする姿を見せてくれて、書いてて驚いてます。

 よく漫画家さんが言う、「キャラが勝手に動いてくれる」みたいな感じですかね?レイってキャラのお陰で自分の中の変化を感じています。

 彼女の「ごめんね、へたっぴで。でも頑張るから」というセリフ。ここは、自分で思いついて、衝撃を受けました。

 自分の人生の中で、こうあるべきだった瞬間は何回かあったんじゃないかと。

 私なんぞプライド高くて、見栄っ張りな人間だから、10代20代はそれが原因でギスギスしていた時もありました。

 でも、あの時、レイみたくいられたら、もっと楽に生きられたのでは?と

 それをこのキャラクターを通して気づかされた気がします。

 レイは、大物になるでしょうね、多分。

●吉田清美編

 女子メンの中で唯一の彼氏持ち、清美。がさつだが、着替えの時はちゃんと別室に移動する女らしさはある彼女。

 森の前で堂々と着替えようとしたあかり、レイとは大違い、彼氏いるヤツといないヤツの違いはここで現れるのでしょう。

 そっけないようで人情味あるヤンキー少女清美。好き勝手やっているようで、でも人望はある人なのでした。

●鏑木先輩

 学祭で凶悪な面を見せてしまった彼ですが、学年が違うのに、ハブかれ気味の藤井をかまってやったり、優しいところも。

 クラス展示も発注ミスはあったものの、責任の多い部分を担おうとしたのは確かで、彼なりの男気はあるのです。

 裏設定ですが、彼はアリスにガチ告白して振られている過去があります。

 それでも懲りずにアリスにからむのは大した根性でしょう。 

 彼も、きっと大物になれる・・・かも。

●先生編

 名前考えてないです。ま、いいや。

 体育教師を想像してました。でも男役足りなかったらこれを女教師にしてもいいんじゃないですかね。

 この人は、冗談通じるけど、指導力はある軸のしっかりとした教師です。

 「俺に注意したくせに、あいつには注意しないのか」・・・みたいな事はないタイプですね。

 年齢は、新人ではないが、ベテランでもない感じを想像してました。

・・・以上があとがきです。キャラ多。最後まで読んでくれてありがとうございました。

 

 

 

 

 

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